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あすへの話題 (作家・・江波戸 哲夫)

「我が家は夫も息子もトイレでの立ちションはご法度です」
先日のバラエティ番組で、某ママ・タレントが胸を張ってこう言うのをみた。近年、若い母親のこの種の発言をよく耳にする。ションのしぶきが立って便器や壁が汚れ、匂うからだそうだ。その度に私は「なんだかなあ」と思う。ションの作法は、犬のオス・メスで違っているように、動物によって大いにセクシャリティ=性のあり様に関わっている。

LGBTなんて言葉が生まれるずっと以前にL(レズ)の機関紙で男役の人が「ああ、立ちションをしてみたい」と切望している投稿を見て、目からウロコが落ちた。ママ・タレが嫌う立ちションは男役には憧れの”男性・性”なのだ。女児、男児両方育てた親ならたいていは知っているだろう。多くの男児が、生来、乱暴に動き回り大声を上げ、衣服を汚し、女児より扱いにくいのを。

ところが最近の若い母親や学校はそれを嫌い、一日中たしなめている。「静かにしなさい」、「走り回らないように」、「そんんな汚いものには触らない」と。寄ってたかって男児生来の”男性・生”を薄めようとしているのだ、そこに「立ちションはさせない」まで加わった。”男性・性”が薄められた「草食男子」はますます多くなるだろう。脱乱暴、脱大声、脱汚れ・・・は、成熟社会では「正義」かもしれない。しかし草食男子がふえすぎることに不安を覚えるなら、母親にも学校にも何か工夫の余地があるのではないだろうか?(日経新聞2018.07.19)

|Posted 2018.8.13|