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 「 自 己 責 任 時 代 」 の 扉 が 開 (竹中平蔵・経済財政担当大臣)

企業の雇用体系や賃金・退職金制度の見直しなどによって、自分自身の将来像が従来通りには描けなくなった。こうした中で将来に向けた資産運用やリスク管理を自ら判断し、その結果に責任を負う「自己責任」の時代が本格的にはじまろうとしている。
同時に、民間の活力を生かした日本経済の再生、その基盤となるマーケットの活性化や個人が幅広く参加できる環境整備が、将来への推進力を生むための重要なテーマの一つになっている。かって日本は、「こうやればうまく行く」という成功事例が示されていた。いま日本は技術的にも所得的にも、未踏のフロンティアに立っいる。「リスクを取らなければリターンはない」という考えは、今となっては当然という認識の人が多くなった。例えば、日本企業は終身雇用・年功序列制度のもとにあり、働く人は一種の安心感を抱きながら「リスクはない」と考えてきました。しかし、これは違う。今までは企業がリスクを負っていた。
これは資産運用も同様で、これまでの日本にはミドルリスク・ミドルリターンの金融商品が相対的に手薄であったことは事実。ミドルリスク・ミドルリターンの好例が投資信託である。リスク管理は基本は「人」にある。能力の高い人材が育っていくことが何より大切。しかい、資産運用にかかわる金融工学の講座は日本にはいくつもない。
これからは、「知」に対する価値を見いだせる教育が必要。知的変化とは、言うなれば人間の変化です。それには長い時間がかかる。アメリカで大学改革がはじまったのは1970年代で、花が開いたのは1990年代だった。日本も長期的スタンスでの教育改革を進めるべきでしょう。 
(2002年3月・日本経済新聞)

 |Posted 2006.8.5|