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宇宙にも広がるごみ問題  「宇宙飛行士 山崎直子」

2009年2月10日、人工衛星同士の衝突事故が起こった。運用中の米国の通信衛星と、運用が停止されたロシアの衛星が、秒速12キロで衝突し、10センチのデプリ(宇宙のゴミ)が千個近く発生したという。ライフル銃の弾丸の速度が秒速1キロ程度であることを考えると、相当な衝撃だ。

これまでに世界で打ち上げられた人口衛星の数は7千個以上。地上から観測されている10センチ以上の宇宙物体の数は、1万6千個以上あり、毎日のように1キロ以内のニアミスが起こっている。7年前の事故も、584メートルですれ違うと予想されていたものだ。

デプリの 分布密度が高まると、連鎖的に衝突が起こる。臨界点を超えると、デプリのため、人工衛星も人類も宇宙に出られなくなる可能性がある。国連では「スペースデプリ低減ガイドライン」を作成し、使い終わった人工衛星がこれ以上デプリにならないよう防止策を検討している。これまでデプリを国が負担すべきという意見もあれば、これから宇宙を利用する全ての国で解決していくべきだという意見もあり、強制力はないものの、まずは国際課題として認識されるようになった。

国や大学は長年研究している。そして民間企業も動き出した。切削工具メーカーのOSGがスポンサーとなり、宇宙ベンチャー企業のアストロスケールが宇宙のゴミをモニター・除去する衛星を開発中だ。 両社が2016年2月10日に東京で開催した「スペースデプリの日」で、山崎直子さんは、スペースシャトルに搭乗中に、窓ガラスに小さなデプリがあたり、ひびが入ったことを話した。(日経新聞「明日への話題」から)

 |Posted 2016.2.19|